Author:白やぎ
管理人・白やぎ=1988年出生・たまに本を読み、たまに映画を観る。ときどき小説のような文章を生産する。
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白やぎはお城へ招待されました。そこには異様に長いテーブルがあり、豪華な食べものが所狭しと並べられていました。 「これ、私が食べてもいいのでしょうか……?」 「どれでも好きなものをお召し上がりください」 おしゃれというよりは冗談としか思えないヒゲをもった執事的男性が言いました。言い終わる前に、白やぎは目の前のごちそうへ齧りついていました。ナイフもフォークもチョップスティックも右手の人差指と中指と親指も使いませんでした。まさに獣のような食いっぷりでした。 「うまいうまい」 大きな肉の塊や、盛られたフルーツがどんどん胃の中に納まっていきました。食べても食べても白やぎのおなかは満たされることなく、おいしいものを楽しむことができました。 そのうちに、 「これはもういいや」 と、半分残っている料理を下げさせました。 「これもあきた」 片方の羽がなくなった鳥の丸焼きがゴミ箱のなかへ放られました。 「脂っこい」 耳を一口だけかじられた子豚の丸焼きが床へ落とされました。 よごれた口の周りを拭こうともせず、白やぎは執事的男性に声をかけました。 「もっと美味しいものはないんですか?」 「では、こちらなどどうでしょう」 丸いボウルのようなフタがついた皿がテーブルに用意されました。大きさは両掌をあわせたほどで、とても小さなものでした。 「どれどれ」 白やぎは、フタをもち上げました。 「なんだこれは」 ――現実。 現実へ、引き戻されました。 ここは自分の部屋のなか。床にある財布の上にいくつかの硬貨がのっています。 598円。 あと二日、これで食いつながなければなりません。 何枚かある一円玉が、洋風の金属皿に見えなくもなかったんです……。 |
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